不眠症とは

不眠症とは、「眠りたいのに眠れなくて困る」ことです。
かなり大雑把な説明なので、もう少し詳しく説明しましょう。
不眠症は大きくわけて①寝つきが悪い(入眠困難)②途中で目が覚める(中途覚醒)③朝早く目が覚める(早朝覚醒)④睡眠の質が悪く寝足りない、の4パターンに分類されます。

不眠症の例

症例: 25歳 男性
家族歴: 特記なし。
病歴: 元来健康で、特に眠れなくて困るようなことはなかった。X年4月新しい配属先で仕事後始めるも慣れないことが多く戸惑っていた。同年5月、仕事上のミスを会議で注意された。以降、寝る前に次の日の仕事のことを考えるようになりなかなか寝付けない日が多くなった。眠れない状態が続くため同年8月当院外来を受診した。

【診断基準】
不眠障害 DSMコード 307.42(ICDコード F51.01)

以下の3つの症状のうち、少なくとも一つが1週間に3夜以上起こり、かつ3ヶ月以上持続する状態です。

1.入眠困難: (例: 寝付くのに20-30分以上かかる)
2.睡眠維持困難(頻回の覚醒・再入眠困難):(例: 寝ても20-30分で目が覚める )
3.早朝覚醒 (例: 起きようとしていた時間よりも30分以上はやく目覚める、全睡眠時間が6.5時間に達する前に覚醒する)

<注意>
※ここに示している数字はDSM-5に記載されていた参考値です。その人の社会的環境によってはこれらの数字は異なります。

(引用)American Psychiatric Association. Insomnia disorder. Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (DSM‑5), 5th ed. Washington, DC: American Psychiatric Association, 2013:362-368.

ポイントは、「1週間に3夜以上起こり、かつ3ヶ月以上持続」という点です。
ざっくり言うと、週の半分ぐらい眠れない状態が3ヶ月続くと不眠症と言えます。
ときどき「月に2-3日眠れない」という理由で受診される方もいらっしゃいますが、この場合、厳密に言うと「不眠症」ではありません。

治療法

不眠の治療は一番手っ取り早い方法として、睡眠薬による治療があります。しかし、皆様の中には「睡眠薬」と聞いてあまり良いイメージをお持ちでない方がいらっしゃると思います。
特に睡眠薬はなかなか止められないという印象があるのではないでしょうか?最近では、依存性の少ない睡眠薬や漢方薬で治療することも可能です。また従来の睡眠薬についても用法用量を守り、医師の指示に従って減薬すれば止めることも可能です。
薬以外の対処方法としては、運動、リラクゼーションなどがあります。
不眠症の非薬物療法については、またの機会にご紹介しましょう。