統合失調症とは

統合失調症とは主に20代に発病する精神疾患であり、幻覚・妄想、感情鈍麻・意欲低下、まとまりのない言動などを特徴とします。

統合失調症の例

症例: 20歳男性
家族歴:いとこが精神科に通院しているが詳細不明
病歴: 大学2年の後期から急に通学できなくなり、家族ともあまり連絡を取らなくなった。心配した家族が下宿先をたずねると部屋は散乱し、窓ガラスは段ボールで塞がれていた。話かけるもブツブツと独り言をいい、「警察に監視されている」「電気で攻撃される」などと訴えた。明らかに様子がおかしいため、家族同伴のもと当院を受診した。

【診断基準】
統合失調症
DSMコード 295.90(ICDコード F20.9)

A:以下のうち2つ(またはそれ以上)、おのおのが1か月以上(または治療が成功した際はより短い期間)ほとんどいつも存在する。これらのうち少なくとも1つは(1)か(2)か(3)である。

(1)妄想*
(2)幻覚**
(3)まとまりのない発語(例:頻繁な脱線または滅裂)
(4)ひどくまとまりのない、または緊張病性の行動
(5)陰性症状(すなわち感情の平板化、意欲欠如)

(引用)American Psychiatric Association. Schizophrenia. Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (DSM-5), 5th ed. Washington, DC: American Psychiatric Association, 2013:99-105.
*妄想: 明らかに間違っている考えでも訂正が不能な状態。議論の余地のない明白な証拠や反証があっても決して認めようとしない。
**幻覚:対象なき知覚。統合失調症においては幻聴をしばしば伴う。

治療法

統合失調症の治療は薬物療法を中心に、精神療法や作業療法などを組み合わせて治療します。
薬はドパミン遮断薬と呼ばれる薬剤が投与されますが、最近はドパミン受容体の遮断ではなく脳内のドパミン量を調整するドパミンシステムスタビライザーと呼ばれる薬剤も使用されています。
興奮が激しい場合はドパミン遮断薬以外に、気分安定薬や抗不安薬を併用することもあります。
以前は副作用も多く、途中で内服をやめてしまう患者さんもいましたが、最近では月1回の注射薬(デポ剤)により治療継続がしやすくなっています。