


精神科認定看護師を迎えて——身体拘束に頼らないケアを考える
2025年4月25日、当院にて精神科認定看護師(行動制限最小化看護)の笹原氏をお迎えし(定期開催中)、「患者ケアと身体拘束の安全性」「認知症患者への介入方法」「スタッフ間の連携強化」をテーマにした院内研修が開催されました。
今回の研修では95歳アルツハイマー型認知症Aさんの事例をもとに、身体拘束を最小限に抑えつつ、患者さんの尊厳を守るケアについて、多職種が真剣に意見を交わしました。
● ケースカンファレンス(金魚鉢形式)
OT室にて、看護師・作業療法士(OT)・精神保健福祉士(PSW)による金魚鉢形式のカンファレンスが行われました。
テーマは「転倒・転落が多い認知症患者に対して、身体拘束に頼らない介入方法を考える」。
カンファレンスでは、Aさんの「お尻歩き」や「床に降りる」などの行動に対し、センサーマットや固定テーブルの活用、居室環境の調整などが紹介され、スタッフ間で実際の困りごとや心理的葛藤を率直に共有する時間となりました。
● 実際の課題と取り組み
当院の現状としては、安全確保のために拘束を選択せざるを得ない場面がありつつも、その方法や必要性について再検討する機運が高まっています。特に若手スタッフからは「もっと自由に意見を出せる場が欲しい」という声があり、今回のような形式のカンファレンスはその一助となりました。
●笹原氏より
スタッフが安心して解除に向けた取り組みを行うための工夫や、ポジティブに患者さんに関わる視点について、貴重な助言をいただきました。
● 研修の振り返りと今後に向けて
今回の研修を通して、「身体拘束を安全に行う」だけでなく、「そもそも拘束をしないための環境づくり」「患者さんの生活背景を理解する視点」の重要性を再認識しました。現場からは、拘束手順のチェックリストの見直しや、より実践的な実技研修の導入を求める声も上がっています。
今後は、スタッフ間のコミュニケーションをさらに活性化させ、拘束解除に向けた実践的な取り組みを継続していきます。
患者さんの「尊厳ある暮らし」を支える看護を、これからも一人ひとりが追求してまいります。